- バルーンファイトについて
- プレイヤー
- 敵キャラクター
- レベルデザイン
- キーとなるメカニクス
- 最後に
アーケードアーカイブス VS. バルーンファイト ダウンロード版 | My Nintendo Store(マイニンテンドーストア)
今回は「バルーンファイト」を取り上げます。アーケードアーカイブスのリンクも貼っていますが、元々はアーケードゲームだったようです。
私は当時はプレイしたことはありませんが、もう一人のメンバーがファミコン版の方はプレイした経験があります。
公式の動画が見つけられなかったのでリンクを貼れないのですが、ゲームセンターCX に岩田社長が来た「社長が課長に訊く」の回で二人がプレイしたのも見ましたが、さすが製作者という話もあり面白いです。
バルーンファイトは、通常モードに加えて、「BALLOON TRIPモード」が用意されているのですが、ここでは「通常モード」の方を扱います。
バルーンファイトについて
一つ目のリンクの引用になります。
このタイトルは、1985年に発売されたファミリーコンピュータ用のアクションゲームです。
風船で空中に浮かび、体当たりで敵の風船を割って倒していきます。
勢いがつくとなかなか止まれない、ふわふわした独特の操作感が特徴です。
操作
操作に関しても同様に引用します。
十字ボタン プレイヤーを操作します。
Aボタン 上昇ボタンです。押すごとにプレイヤーは 手を羽ばたいて上昇します。
Bボタン 連続上昇ボタンです。押しているだけで、 プレイヤーはAボタンを連続して押すのと同じ動きをします。
上昇という点ではカービィー(夢の泉の物語とか)が空中にいる状態を想像すると分かりやすいです。カービィーのように息を吐いての急落下はできませんが、それ以外は似ています。
一応地面の上での操作もできて、普通に歩くことができます。
モード「通常モード」
前述の通り、今回は通常モードのみ扱います。
通常モードはスクロールはせず、固定の画面内でのプレイとなります。ただ、左右が繋がっており移動ができます。
さらに通常モードの説明を引用します。
- 床にいる敵が風船を膨らまし、空中を飛び回ります。
- 十字ボタンと、AまたはBボタンでプレイヤーを操作し、敵に体当たりしてください。
- 敵の風にプレイヤーのからだを当てる(高い位置から攻撃する)と、敵の風船は割れ、パラシュートで落下していきます。
落下していく敵のパラシュートに、再び体当たりをして敵を水中へ落とすと、その敵は消滅してしまいます。- 敵のからだにプレイヤーの風船が触れると、2個のうち1個が割れて上昇力が弱くなります。
風を2個とも割られると、プレイヤーは水中に落下して1回ミスとなります。- 水面近くを飛んでいると、水中から顔を出した魚がプレイヤーを食べてしまうことがあります。注意しましょう。
- 3面終わるごとにボーナスステージがあります。次々に出てくる風船を、できるだけ多く割ってください。
ではガイドに沿ってみていきましょう。
プレイヤー
キャラクターの機能と外見のデザイン
- 風船を二つつけており、敵に割られるとその数も減っていくため、とても分かりやすくその機能を表しています
- 風船はキャラクターの上半分にあり、その方向がプレイヤーの弱点になっていることも明らかです
- 上昇する際には、キャラクターも羽ばたくようなアクションをするため、「飛んでいるとき」「(飛ぶのをやめて)落下しているとき」が見た目からも分かりやすいです
ルールや勝敗の分かりやすさ
- 現在のステージと、残機の表示もあるため、ゲームの進行状況が分かりやすいです
- 現在のスコアや、トップスコアの表示もあり、スコアにこだわる人にも現在値をすぐに確認できるようになっています
- ライフでもある風船は前述の通りキャラクターの見た目に表現されているため、迷うことはなく、一度プレイすればすぐにそれが割られることがゲームオーバーに繋がることがわかります
- 同様に敵も風船と消滅で表現されているので、その敵を倒すことが勝利条件だと分かりやすいです
人数による遊び方
一人プレイ
探索 (発見) | 戦闘 (駆け引き) を楽しむ | 障害物競争 | その他 |
---|---|---|---|
✅ |
- 基本的には、敵との 戦闘や駆け引きを楽しむゲーム です
- スコアや、終わりがなくステージがループして続いていくことからも、スコアアタックが可能な 極める一人遊び の部類に入りそうです
- 今回は取り上げませんが、「BALLOON TRIP モード」も Rank が最後までいってもステージが終わらずスコアを伸ばし続けることができます
協力プレイ (対戦)
競技性のある | 誰でも勝者になれる |
---|---|
✅ |
- 協力プレイができますが、プレイヤー同士も風船を割り合えてしまうため、対戦が始まってしまうことがあります
- 当時はこういうゲームはまあまああったようですし、New スーパーマリオブラザーズのようにその後のコンソールでも協力と対戦要素が入り混じるゲームは見られます
- 対戦と捉えた場合には、依然として敵キャラがいることに加えて、雷など第三者の干渉がある為、競技性のあるゲームというよりも 誰でも勝者になれるゲームと言えそうです
操作
ゲーム的な制限
官能性
- 上昇・落下ともに風船の浮力を表したような速度(上昇に関しては風船の数も影響)や動きでクイックなものではありません
- 空中での左右の動きも浮力を操る感じに加えて、入力をやめても慣性のようにキャラクターが流されるため思ったように動かせません
- 一方で、この動きの制限があるが故に、思ったように敵を倒せたり、回避が成功すると、快感や達成感を得られます
- ここにこのゲームの 上達できる奥深さ や 官能性 の一つがあるように思います
気持ちよく操作できる箇所
官能性
- マリオの B ダッシュのような操作は無いものの、ゲームスタート時の短い無敵時間と敵の待機時間に、一気に上端まで上昇したり、うまく浮遊前の敵を倒せると全能感に似た気持ちよさがあります
- おそらく、その後はずっと不自由な制限があるため、余計に感じるのだろうと思います
振り向き
その場振り向き | 移動振り向き |
---|---|
❓ | ✅ |
- 「その場振り向き」を ? としているのは、垂直に上昇している場合と着地時には「その場振り向き」が可能であるためです
- もしかすると、このゲーム自体は「その場振り向き」なのかもしれませんが、プレイ時にはほぼ慣性がかかった状態で動かすため、移動振り向きのように感じてしまうのかもしれません
- ここでは後者の感じ方多いだろうと判断し、 移動振り向き としました
無敵
このゲームには「スタート時」と「リスポーン時」の二つのタイミングで無敵が用意されているように見えます。
スタート時に関しては、プレイヤーに先手を取らせるための措置なので、ここではリスポーン時に関してのみ扱います。
- 無敵の目的
- リスポーン時に 1 秒程度の無敵
- 「短期的なハマり防止」が目的にも見えますが、リスポーン後の無敵解除直後に敵に当たってしまうこともあります
- そもそも連続攻撃を脱出するためのものでもないので、(リ)スポーンの効果なのかもしれません
- 無敵時間
- 上述の通り無敵時間があっても即やられることもありますが、ピンチ脱出のためのものでもないのでリスポーン後の無敵時間としては十分な時間だと考えられます
- 無敵条件
- スタート時とリスポーン時です
- 無敵演出
- 赤点滅
ノックバック
このゲームにおいては、ノックバック(敵への衝突時の後退り)は「空中で何かに当たった時の跳ね返り」の一部でありノックバックというのは適切ではないかもしれません。
ここでは、敵の攻撃や接触に対してだけでなく、障害物や天井に当たることも含めた 跳ね返り を扱います
- どういう状況を作るか
- 風船を割られたらその時点でリスポーンとなってしまうため、風船ヒット時には連続攻撃を回避するような状況は作れません
- 風船にヒットせず、体当たりがプレイヤーと敵の間で発生した場合は双方にノックバックが発生するため、そのまま敵が連続で突っ込んできて割られるという状況は回避されます
- 一方で、こちらが相手の風船を割った場合にもノックバックが発生するため、落下する敵を追撃するタイミングが若干遅らせることで、落下中の敵を倒す手間を意図的に増やしているように見えます
- また、プレイヤーの「跳ね返り」は背後にいる敵や雷への意図しないヒットに繋がってしまうため、不利な状況も作られやすいです
- 距離
- 「跳ね返り」であるためか一定の距離ではなく、衝突時点の方向や勢いが影響しているように見えます
- ここに関しては、プレイフィールにも一致しているため違和感は感じません
- 上から踏む場合に、減速して踏めば跳ね返りも少ないため、そのまま追撃可能という工夫も可能になります
リアクション
プレイヤーのリアクションはあまり多くありません。「跳ね返り」を単なる物理挙動と考えると、キャラクターはほぼリアクションをとりません。
- 「状態を表すリアクション」として、残りライフを表す風船がキャラクターに装着されています
- 敵キャラクターの攻撃は風船に当たることでしか有効でない事も割れることで示されています
- 雷や魚は風船ではなく、プレイヤーキャラクター本体へのダメージリアクションとなるため、風船の残数は関係なくゲームオーバーになることが明確に説明されています
移動
移動方向
- 空中での移動は斜め移動も自在であり方向に制限はありません
- また、グリッドを意識した移動にもなっていません
移動時の引っかかりや障害物に対する対処
- 障害物は基本的に 跳ね返りというメカニクスの要素であるため、全て跳ね返ります
- そのため、当たったというのは明確に判断できます
- 途中で出てくる「グルグルの回転」も同様で、方向を変えたり加速を得たりできますが、引っかかりや障害物を自動で避けるような対象にはなりません
慣性とシビアさ
- 操作の項目でも述べましたが、空中では慣性を伴った移動になります
- マリオのジャンプ中の操作と比べると、落下や着地のための調整よりも空中での位置の調整になるため、同じかそれ以上にシビアな操作を要求されるように感じます
常に斜め方向に移動
- 上昇・落下、左右移動のように操作では書いたものの、実際にはいつも何らか角度のついた方向へ移動します
- 横方向への移動も、(地上での歩行を除けば)上昇や落下を伴った状態でしか行われません
- 同様に縦方向も、一度左右への慣性が入ると垂直方向への移動はほぼ行われません
攻撃
攻撃アクション
- 攻撃は「体当たり (上から踏むも含む)」のみです
- 敵に対して、横方向と縦方向(上から踏む)の攻撃が可能ですが、基本的には「敵キャラクターの上半分(つまり風船)」に体当たりをするということです
- これは敵キャラクターからプレイヤーへの攻撃も同様となります
- 敵キャラクターは風船を割られると、「落下中」「着地」と状態が変わりますが、これらの状態だと相手の体のどこにヒットしてもよくなります
ここまでで分かる通り、攻撃・防御(回避)の両面において、敵よりも高い位置にいることが有利になることがわかります。
攻撃手段に特殊な遊びがあるか
これは、ゼルダの伝説のソードビームのようにライフを満タンにする動機になるようなものがあるかという点です。
ここに関しては、風船の数を意図的に減らすことで落下速度をあげることで何かリスクをとる遊びがあるかと考えましたが、それに見合うリターンが無いため「無し」と判断しました。
戦術の駆け引き
リスクとリターン 攻防の流れ
攻撃アクションでも書きましたが、敵よりも高い位置にいることが有利な材料だと思うため、ここに関して掘り下げます。
- 高い位置が有利ですが、これは敵も同様であり敵もプレイヤーを狙いつつも、比較的高い位置をキープしています。よって、敵の密集地に入る可能性があるリスクを負います。
- 高い位置となると上端(天井)部分が攻撃されるリスクがなく攻撃もしやすいのでリターンは大きいのですが、上端も「跳ね返り」の対象になっているため、上端に接触するといきなり下降させられるリスクがあります。
- 逆に、プレイヤーを狙う敵キャラクターを下方向に誘い、一気に上昇して倒すという戦術も可能ですが、誘う途中にやられてしまうリスクもあります。
このように 縦方向の位置取りとそれを利用した戦術はいくつか考えられますが、どれもリスクとリターンがあります。
何より、敵との縦の位置関係は簡単に入れ替わってしまうので、縦の位置が入れ替わるたびに、攻防の入れ替わり、それが常に流れていると考えることができます。
インタラクティブな遊び
やはりこのゲームにおけるプレイヤーのアクションからなるリアクション(フィードバック)で遊べるのは、ここまで何度も出てきている 跳ね返り になると思います。
- 障害物の跳ね返りを利用して、ぶつかって逃げる
- グルグルの回転も跳ね返りに方向と加速度を加えただけですし、狙った方向に移動できないという点では同じでしょう
- 敵キャラクターに左右から挟まれたとしても、風船を割った時の跳ね返りを利用して、左右の時を連続して倒してしまう
敵キャラクター
ここからは敵キャラクターについて見ていきますが、このゲームには敵キャラクターと呼べるものは
- 風船をつけた敵
- 魚 (水中)
- 雲 (雷を出す)
の 3 種類しかいません。
敵キャラクターの機能と外見のデザイン
風船をつけた敵
- プレイヤーキャラクター同様に風船をつけて飛んでおり、風船が割られるとパラシュートで落下します
- 風船状態では正面に尖ったものがあり、当たってはだめというのが視覚的にも明らかです
- 風船が割られてからは尖ったものが曲がった状態になるので当たっても安全ということも説明されます
- ただ、実際には敵の体にプレイヤーの風船が当たるとヒットになるので、後ろから当たってしまってもダメです
- 一度落下後も、風船を膨らませるというゲーム開始時と同じアクションを取るので、復活するという機能が説明されています
プレイヤーと似たキャラクターでありながら、「プレイヤーの風船が接触して良いかどうか」が外見からわかりやすくなっています。
また、大きく見た目は変わらないものの、以下のように強さに段階があります。
- 敵キャラクターは落下後の復活によりレベル(?) が上がり、色が全部で3段階に変化します。
- 初期状態が 2 段階目であった場合には、3段階目にレベルアップするだけです
- 色でレベルの機能が表現されているのがわかります
魚
雲
- 雲は雷を出す前にアクションを起こすので、一度見れば この時に雷を出すというのが明確に伝わります
- 雲自体を触っていいかは見た目からは分かりにくいです
- 一度通れば無害と分かるので誤解はしにくいです
- 雷は一度ヒットすることで、プレイヤーが感電状態になりますし、帯電しているように表現されているので、接触してはいけないことが分かりやすいです
敵キャラクターを利用したアクション・リアクション
- 雷は敵キャラクターにヒットしないため、そこに誘導するということはできません
- 魚は敵キャラクターも捕食するため、自分も捕食されるリスクを負いますが、誘導することが可能です
- 敵キャラクター同士は衝突しますが、その衝突によって敵キャラクターの風船が割れることはないため、そこを利用することができません
- もしかすると、敵キャラクター同士の衝突判定をうまく使ったプレイ方法もあるのかもしれません
敵キャラクターの性格
風船をつけた敵
風船をつけた敵キャラクターは、前述の通り3種類のレベルが存在します。まずは、レベルが上がることで敵キャラクターがどのように変化するかまとめておきます。(プレイしての観察なので、正確なものではありません)
- 動きのパターン
- レベル1だとほぼランダムだが、上がるに連れてプレイヤーに向かってくる傾向が強くなる
- 一方でずっと追尾してくるようなことはない
- レベルが上がると高度も高い所を維持するようになる
- 動く速度
- レベルが上がるにつれて速くなる
- 速度に影響していると思いますが、一度の加速での移動の幅も大きくなっているように見えます
- 風船を割られてから復活する速度
- レベルが上がるにつれて速くなる
- 倒した時の得点
- レベルが上がるにつれて速くなる
これを元に性格を分類することになりますが、積極的(にプレイヤーを攻撃しにくる)、消極的(にしかプレイヤーには寄って来ず障害物扱い)のいずれにも該当します。あえていうなら、レベルが上がるにつれて積極的寄りになりますが、ゼルダの伝説の敵キャラクターのようにプレイヤーを倒しにくる程ではありません。
ここに関してはあまり自信はなく、もしかすると追尾してきているのですが、単に跳ね返り等で追って来れていないだけなのかもしれません。
魚と雲
これらはどちらも攻撃には消極的な障害物に分類できそうです。
- 魚は水中を左右に動いている最中に、プレイヤーが近づいたら捕食してくるだけで、プレイヤーが水面に来たら必ずくるわけではない
- 雷はただ跳ね返っているだけで、プレイヤーを狙ってくることはない
敵キャラクターの強さと難易度
- 風船をつけた敵はレベルが上がりますが、ステージ1でも落下させ続ければ最高レベルになるため、レベルの上昇が難易度と直結はしません
- 一方で、後のステージに行くほど、開始時点からレベルの高い状態で現れる数が増えるので無関係ではありません
- 魚と雲に関しては、全ステージ一貫して大きな変化はなく、雲の数が増えるぐらいです
このゲームはレベルデザインと難易度が連動する部分もあります。 ステージが狭いため、敵の数が増えればそれだけプレイヤーは不利になるので、敵キャラクターのレベルだけで難易度が決定するということはなさそうです。
プレイヤーと敵との対峙のステップ
観察する・考える(リスクの予測)
- 敵の色でレベルを判断できるため、どのような動きをするか予測できます
- 雷が放出されることで、それに接触しないように注意することができます
- ステージ内の位置取りが戦術の重要な部分を占めるため、常にステージ内での自分の位置を気にします
戦う(アクション)
- 戦いに関しては、体当たりしか用意されていないため、戦闘方法やアイテムを使うようなことはありません
- 前述の通り、ステージ内の位置を気にしつつ、どのように体当たりするかの戦術を考える必要があります
勝つ(報酬・リターン)
リスクとリターン
- 報酬はスコアのみですが、「空中で倒す」「よりレベルの高い状態で倒す」「倒した後の泡を取る」など、ただクリアするだけの得点よりも得点をあげる方法が用意されています
- ハイスコアを獲得するためには、敵のレベルをあえて上げるなどすれば、リスクは上がるもののリターンが得られます
- 3ステージに一度ボーナスステージがあり、そこで割られた風船を回復できるので、ボーナスステージ前は多少リスクを取った戦い方ができます
プレイヤーに先手を取らせているか
リスクとリターン
- ステージ開始後に敵キャラは風船を膨らませる時間があるため、敵のレベルに関わらず必ずプレイヤーが先手を取れます
- その先手を取る時間は敵キャラは着地状態なので簡単に体当たりで消滅させることができるため、スタートダッシュを決めることができます
- 多少プレイヤーに有利すぎる気もしますが、あまり突っ込みすぎると逆に倒されるリスクもあるため、あえてリスクを取らせる仕組みかもしれません
敵の出現・移動方向、倒す方向
風船をつけた敵
- プレイヤーと同じく方向に制限がありません
- よって、倒す方向も敵の上から倒す以上の制限はありません
魚
- 水の中から上方向に飛び出しくる以外の方向性はもっていません
- 水中では左右に動き続けているようですが、それをプレイ中に確認する術もないので注意すべきは下から上にくる動作だけになります
雲 (雷)
- 雷は斜め(45度)方向に移動し続け、水面以外のどこでも跳ね返ります
敵を倒すテンポ
狙い撃つ | 素早く倒す |
---|---|
✅ |
- 敵を避けながら、敵の上方を狙って攻撃するというスタイルであり、テンポよく素早く倒すような感覚はありません
ヒットストップ
- ヒットストップは用意されていません
- ヒットストップが必要になるようなシチュエーションもありません
敵は重力と地形を生かすか
- 後述しますが、レベル自体には工夫がされていくものの、それが敵キャラクターの特性を活かしたものにはなっていません
- ただ、雷は重力を無視した動きをしてくるので、その跳ね返りが地形に大きく影響されます。その意味では、雷が不規則に跳ね返りやすい地形にデザインされているのかもしれません。
移動速度
プレイヤーの方が速い | 同じ速さ | 敵の方が速い |
---|---|---|
雷 | 風船をつけた敵(レベル低) | 風船をつけた敵(レベル高) |
- 雷は重力を無視し、マップの中を跳ね返り続けるので避けるのに苦労するためか、多少遅く設定されているように感じます
- 風船をつけた敵は、レベルが上がるにつれて動きにバリエーションが出ることもありますが、多少素早く動くように設定されているようです
- 当然ながら速度が上がると、敵の風船を狙うことも難しくなります
リアクション
単純なゲームでありながら、多様なリアクションがつけられています。
ダメージリアクション
- 風船をつけた敵は、風船を割られた(ダメージを受けた)瞬間に落下状態に変わるため、ダメージアニメーションとは言えないかもしれませんが、明確に表現されています
攻撃に対するリアクション
- 風船をつけた敵は、プレイヤーの体当たりを受けた時、風船が割れない場所 (つまり、ダメージを受けていない) であれば、その勢いに応じてノックバックします
魂を感じさせるリアクション
風船をつけた敵
- レベルが低い場合は、ただ単調なパターンで動いているようにしか見えません
- レベルが上がってくると、プレイヤーに対して向かってくる動きをするようになります
- 風船が割られて、落下状態になると見るからに「しょんぼり」したような感じになり弱っている状態を感じます
魚
- 敵・プレイヤー関わらずですが、海上付近を飛んでいるものに反応してして食い付いてくるように見えます
- ゲームセンターCXの「社長が課長に訊く」によると、魚はずっと左右に泳ぎ続けていて、そのポイントで偶然海上付近にいれば食いつくようになっているそうです
無敵
- 雷や魚は敵というよりは障害物なので除外します
- 風船をつけた敵には確認する限り無敵時間はないように見えます。おそらく風船を割った直後でも踏みつけることはできると思います。
ノックバック
ノックバックの有無や強弱で強さを表現するか
- ここは確認しきれていませんが、風船をつけた敵がレベルに応じてノックバックに違いがあるかはわかりませんでした
距離は適切か
- 敵は風船を割られた瞬間に落下するというのもあり、ノックバック距離が問題になるようには見えませんでした
- 繰り返しになりますが、あらゆるオブジェクトに対して「跳ね返り」があるゲームなので判断は難しいところです
敵同士にぶつかり判定があるか
- 風船をつけた敵にはそれ同士でのぶつかり判定があります
- 追尾して包囲してくるような敵ではないため、そのぶつかり判定がハマりを誘発するようなケースはありません
- ただ、狭い場所で敵同士がぶつかって団子状態になってしまうことはあり得るため、それで移動範囲が制限されることはありました
プレイヤーは突破口を開けるか
- ノックバックか跳ね返りかというのはありますが、敵とプレイヤーが近い位置で集まってしまうと、敵に対してのノックバックで反対にいる敵に簡単にぶつかってしまうような状況が発生します
- 前述の通り、意図的に包囲されるようなケースはほぼ無いですが、囲まれるとノックバックは突破口を開くどころか、やられやすい要因になります
- ただ、これはこのゲームの「跳ね返り」というメカニクスの特徴でもあるため、悪い点にはならないと思います
レベルデザイン
基本的な特徴
バルーンファイトのレベルには基本的な部分として以下の特徴があります。
- レベルの全体はスタート時に映っている部分が全て
- レベルは左右で繋がっている
- 着地できない場所と海以外はどこでも「跳ね返る」、これは画面の上端も含まれる
つまり、障害物が横長の島であることに加えて、左右で繋がっていることで、横方向 には比較的自由な進路が開かれていると言えそうです。
横方向が繋がっていることの利点
レベルは広くないため、敵キャラや障害物で縦方向は簡単に詰まってしまいます。よって、左右に移動しつつ縦の進路を探すのですが、横方向が接続されていることでそこでのハマりを回避しています。
縦の位置取りの不自由
横方向の進路が自由なのは、プレイヤーだけでなく風船をつけた敵も同じことが言えるため、彼らも同様に横方向に移動することが基本になります。
つまり、上下移動、つまり縦方向への移動は横長の島を迂回するだけでなく、移動する敵キャラクターも避けていかなければいけません。
これは、当然ステージ開始直後の敵が風船を膨らませている間は無視できるため、スタートダッシュの快感がより強まります。
上端の跳ね返りが有利な位置のキープを阻害する
このゲームはここまで述べてきた通り、敵よりも高い位置にいる程に有利になります。つまり、上端付近が最も強い位置だと言えます。
しかし、上端すらも跳ね返りの対象になっているため、上端をキープしようとすると、不意に跳ね返されて近くの敵に風船を割られてしまうということがよく発生します。
中盤以降の縦長の障害物が横方向も不自由にする
ステージを進めると、これまで自由だった横方向すらも不自由にする障害物が現れます。
中盤以降は、跳ね返りの恐怖が強まる「グルグルの回転」の方が目立つのですが、縦長の島もシンプルに移動範囲を制限してきます。
キーとなるメカニクス
ここまでまとめてきた内容から、私達はバルーンファイト「通常モード」の主要なゲームメカニクスを以下の3つと考えました。
- 浮遊する操作
- 跳ね返り
- 縦の位置取り
浮遊する操作
風船を付けたキャラクターを、羽ばたくという上昇と逆の落下、そしてそれに伴う左右移動のみで操る必要があります。
これにさらに慣性がかかるため、思った通りに空中での移動をすることが難しく、プレイヤーは不自由な操作を強いられます。
一方で、この不自由さがプレイヤーの上達を伴う達成感や、うまく浮遊をコントロールした時の官能性を引き出していると思います。
「BALLOON TRIPモード」はこのメカニクスのみで遊びにしたモードとも言えると思います。
跳ね返り
「跳ね返り」というメカニクスは、キャラクターが風船をつけて浮遊しているため、「ぶつかる -> 跳ね返る」という現象が違和感なくゲームに溶け込んでいます。
また、決して広く無いマップの中で、ただでさえ不自由な浮遊操作が跳ね返りによってさらに意図しない挙動を生み、プレイヤーの緊張感を高めたり、レベルデザインでその難易度を高めることができています。
「グルグルの回転」も跳ね返りのメカニクスを拡張する障害物と言えそうです。
「縦の位置取り」
このメカニクスは、プレイヤー及び敵キャラクターが「風船を頭上に付けている」という「見た目」そしてそれが撃墜すべき目標になっていることから、自然に発生するものです。
これは、プレイヤー及び敵キャラクターの双方が気にする内容であるため、自然に縦方向に限りがあるマップの中で「より高い位置」を維持することが有利になる基本的な戦略と、それに対するプレイヤーと敵の駆け引きを産んでいます。
3つの組み合わせ
「より高い位置」を維持する戦略は、浮遊という不自由な操作によって簡単では無い上に、跳ね返りが起こることで、縦の位置関係が簡単に敵とプレイヤーで入れ替わり、攻防の流れができています。
つまり、縦の優位な位置を取ろうとする(リターン)ことは、それ自体がリスクにもなっており、常にそれを気にしてプレイする必要があるのです。
これら3つのキーとなるメカニクスによってバルーンファイトの「通常モード」は単純な操作やルールでありながらも、プレイヤーに繊細な操作や駆け引きを求める体験を提供できているのだと思います。
最後に
全体を通して「プレイヤー」「敵キャラクター」「レベルデザイン」の 3 つの軸について見てきました。これは、「2Dゲームをおもしろくする技術」の 1, 2, 3 章も同様です。書籍の方では 「4 章 当たり判定」「5章 カメラ」があるのですが、バルーンファイトでは書けることが無さそうだったので除外しています。
「レベルデザイン」についても書籍で紹介されているようなゲームとはレベルの構成が大きく異なっていたので、ここは書籍をガイドとしたした内容にはなっていません。
また、「プレイヤー」「敵キャラクター」についても、書籍のガイドとは異なる操作性を持つキャラクターであるため、重要な操作があまりフィーチャーされなかった部分もあり、まとめ方には課題がありそうです。
今回、この内容を書くためにバルーンファイトを 1, 2 時間程度プレイしましたが、想像していた以上に楽しめましたし、私が生徒と一緒に作っているような 2D ゲームよりも作り込まれていて、これがファミコン時代のゲームかと驚きました。
そして、それについて二人で話し合ったのですが、その話も 3 時間を超えてしまい、書籍を読んでレトロゲームに対するものの見方がだいぶ変わってしまったなと感慨深かったです。
学ぶことはたくさんあると気づけたので、今後も少しずついろんなゲームをプレイしていきたいと思います。